今さら聞けない男性育休セミナー【Part2 なぜ育休取らないの?】

子育て

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【Part2 なぜ育休取らないの?】
【Part3 育休取ったらどうなるの?】
【Part4 育休を取る時の会社への対応は?】
【Part5 みんなが育休取得するために】

<お話を聞いた人:安田修吾さん>
ワークスタイル・ナビゲーター
「仕事も子育ても欲張る笑顔のパパを増やす」をテーマに活躍中。
男性育休取得率1%台の2011年から合計3回・約200日の育休を取得。
自ら働き方を開拓してきた経験を元に、仕事と育児・家事の両立を叶える働き方を提案。
埼玉県働き方見直し支援アドバイザー、キャリアコンサルタント。

<聞き手:杉山錠士さん>
兼業主夫放送作家。NPO法人ファザーリング・ジャパン会員。
1976年、千葉県生まれ。18歳と10歳という年の離れた二人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、FMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆し、「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。子育てアイテム「パパのツナギ」企画制作販売、パパ向け情報サイト「パパしるべ( https://papashirube.com/ )」編集長。

◎協力:Read it LOUD阿佐ヶ谷校(アルーク阿佐ヶ谷内)

トーク内容テキスト(一部編集しています)

(杉山)日本の育休制度は、世界的に見ても優秀だと聞いたことがあります。

(安田)他に類を見ない優秀さです。
確実にお金がもらえて、確実に復帰できる…もうこれ以上の制度はないですよね!

(杉山)北欧など男性育休取得率が80~90%と高い国と比べても、充実しているのですか?

(安田)そうですね。
金額的なところも違いますし、確実に仕事に戻れるというところがあります。
原則として、現職復帰。
そんな国、他に見たことはありません。

(杉山)そんなに恵まれている制度なのに、使わない。
なぜ、育休を取らないのでしょうか?

(安田)理由は、3つほどありそうです。

ひとつが、性別役割分業。
いわゆる、「男は仕事・女は家庭」といった価値観。
今、ちょうど昭和ノスタルジーがブームになっていますが、(性別役割分業は)そんな懐かしさを感じるような時代に出てきた考え方。
それを、50~60年経ってもまだ引きずっているんです。

ふたつめが、先程もお話したお金の問題。
男女の賃金格差…あくまで統計上の話ですが、女性の収入は男性の7割程度と言われています。
男性が大黒柱であると、その人が育休を取得すると困るという考え方になってしまう。

これは、他にもいろいろと影響していて…
給与は残業代のもとになります。
給与が高い人が残業した方が残業代も高くなります。
そうなると、「男性が残業した方がいい」という考え方が、だんだん企業の中に残っていく。
結果、時間当たりの獲得賃金の高いほうが仕事を頑張ることになります。

(杉山)そうか…どちらかがやらなきゃいけないとなった時には、男性の方が効率的に稼げるから、男性がやりなさいよということですね。

(安田)2022年7月に、政府が労働者301人以上の企業に男女の賃金格差の公表を義務付けを行いました(※女性活躍推進法の省令を改正・施行)。
おそらく、法として通ることになります。

公表することになれば、格差が広がる方向にはいかないですよね。
チャンスです。
男女の賃金格差も、いずれは「昭和ノスタルジー」ならぬ「平成ノスタルジー」になっていくのではないでしょうか。

(杉山)賃金格差の公表義務化は、改正育児・介護休業法の話ではないのですよね?

(安田)はい、その外での動きですね。

(杉山)育児・介護休業法の改正によって、企業に公表義務が課せられたものもありましたよね?

(安田)はい。2023年4月から、大企業は男性育休取得率の公表が義務付けられています。
そこは、主に学生たちが見ていると思います。

(杉山)来年度から、大企業は男性の育児休業取得率を公表しなきゃいけない。
今の就活生・大学生は、育休取得率を見るものなのですか?

(安田)見ています!
ある調査によると、「育休を取得したい」という男子学生は、9割を超えています。
でも、実際に育休を取得できているのは、12%強程度と、理想と現実のギャップがあります。

(杉山)「育休を取るぞ」という気持ちで入社するのに、牙を抜かれていくかのようですね。
現在は、選ばれし精鋭のような12.65%が育休を取得できたというような空気になってしまっているんですね。

でも、育休が取得できない人は、本当に取れないのでしょうか?
安田さんが取得できているのだから、そんなわけはないと思うんですよ…。

(安田)様々なリスクが先に見えてしまうのかなと思います。
メディアでも、「育休取ったらいろいろあった」ということを多く言われてしまっています。

でも、冷静になって考えてみてほしいです。
育休を取らなかったら、結構しんどいんですよ。

つらい話ですが、夫婦で子育てできないとなると、一方・主に妻にストレスが偏ります。
夫は、「大黒柱だから、自分が稼がなきゃ」と考え、妻は、「ママだから、子育てしなきゃ」と考えるようになる。
ママはキャリアを形成することができず、結果、ライフもワークも逃すという、大変残念なことが起こります。

女性の管理職登用などを言われている中で、今、明らかにママの方に風が吹いているのに、そこに乗り損ねることになる。
もちろん、一概に乗った方がいいということではなく、チャンスがあるのに逃してしまうということです。

(杉山)なるほど。
男性が育休取得したいのに取れないのは、上司の反対が原因?

(安田)上司がいい顔をしない。これが3つ目です。
「俺の時代は…」ということも、今は法令では言えないことになっています。
ハラスメントにあたります。

(杉山)また、期間はともかく、プロジェクトリーダー等にとっては、大事な人材が抜けることになる…それに対しても、いい顔をしないわけですよね。
その結果、取得の意向確認ではなく、「まさか取らないよね?」というお願いみたいになってしまう。
どのような人が育休取得をブロックしてしまうのか、何か事例などはありますか?

(安田)真面目でプライドの高い人でしょうか。
小さい頃、親から「しっかり勉強して、いい学校に入って、いい会社に入って、真面目に勤めあげなさい」と言われませんでしたか?
これは、親世代としては正解かもしれません。
子どもとして聞くと、親の言うことはスッと入ってしまう。
時代が変わり、その考え方が合わなくなってきているにもかかわらず、子どもの頃に親に言われた感覚が呪縛になっているケースもあります。

妻側にも、「良妻賢母モデル」の呪縛があります。
やらねばならないという感覚に縛られている。

(杉山)なるほど。
男性の育休取得をブロックする人は会社の上司だけでなく、例えば妻であるケースもあると聞きます。
これは、「良妻賢母モデル」の呪縛が、妻本人を邪魔してしまっているということですね。
また、親もそうですね。

(安田)親の世代とは明らかに違います。
その違いを分かってもらうのか、分かってもらえなくても強行突破するのか…(笑)。

(杉山)親ともめるという話は、よく聞きますよね…。

※育休制度の詳細については厚生労働省のサイト等でのご確認をお願いします。

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日々子育てに奮闘しているママやパパが、「○○しなければならない」という子育てから一歩離れて色々な考えを知り、ありのままの自分自身を受け入れて欲しいという願いを込めてサイトを制作しました。

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