おやつよりおつまみ!?子どものデンタルケア講座【Part4 歯科との上手な付き合い方】

健康

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<お話を聞いた人:小安正洋さん>
歯科医師・歯学博士 。中目黒コヤス歯科院長。
昭和大学歯学部兼任講師、厚生労働省認定臨床研修指導歯科医師であり多くの後進を指導 。日本歯科審美学会(認定医)や日本歯科保存学会など多くの団体に所属する一方、アーティストとしても活動。過去にはm-floのVerbalと共にMIC BANDITZや、“デブパレード”のメンバーとしてテレビアニメ「NARUTO」のエンディングテーマを担当した経験を持つ。打首獄門同好会の「歯痛くてfeat.Dr.COYASS」で客演。日本武道館のステージで全力のラップを披露したことも。
中目黒コヤス歯科 https://dr-coyass.com/

<聞き手:杉山錠士さん>
兼業主夫放送作家。NPO法人ファザーリング・ジャパン会員。
1976年、千葉県生まれ。高2と小3という年の離れた二人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、FMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆し、「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。子育てアイテム「パパのツナギ」企画制作販売、パパ向け情報サイト「パパしるべ( https://papashirube.com/ )」編集長。

◎協力:Read it LOUD阿佐ヶ谷校(アルーク阿佐ヶ谷内)

トーク内容テキスト(一部編集しています)

(杉山)昔は、子どもが虫歯になったり歯が痛くなったら、「歯医者さんに行こう」でしたが、最近ちょっと変わってきていますか?

(小安)小さい時から、検診などで歯を診てもらうことが習慣になってきていますよね。
歯科に対する知識(デンタルIQ)も高まっていて、親同士でも情報共有されています。

子どもの歯について小さい時から気を付けているご家庭は、最近はすごく多いです。
ちょっとでも虫歯を疑ったら「ここ、あやしいんですけど」と、歯医者に飛んでくる親御さんもいらっしゃる。
実際は、食べかすがついているだけだったりすることもあります(笑)。

(杉山)いわゆる、予防歯科という考え方ですよね。
定期的にチェックしてもらうのは、当然してもらうほうがいい?

(小安)そうですね。当然、やっておいた方がいいです。

(杉山)そうお金はかからないものですか?

(小安)お住まいの地域にもよると思いますが、多分負担額はゼロでできると思います。

(杉山)そうか、乳幼児医療がありますね。

(小安)そうです。
だから、「なんで来ないんだろう?」っていうぐらい。

(杉山)確かに、そうですよね。お金がかかるわけでもない。
チェックに行くと、虫歯の有無のほか、歯並びや磨き方がどうかなども、分かりますか?

(小安)分かります。

(杉山)どういったことを注意しますか?

(小安)奥歯などにある溝が、磨き残しがあって黒くなっていると、虫歯かなと疑って診ています。
ニーッと笑って風をかけると、通常白いはずの歯が白濁などしていることがあるが、これは初期虫歯で、溶けかかっている状態です。

あとは、プラーク。歯と歯の間の汚れ。
明らかに食べかすじゃない、白っぽい汚れ。
プラークは、2・3日歯磨きをさぼるとバイオフィルムが増殖して落ちなくなる。
歯医者の時に1日だけ歯を磨いてきても、我々からにはバレるので(笑)。

(杉山)2日前の磨き残しが分かる?

(小安)菌として増えているので。

(杉山)1回の歯磨きでは、できない?

(小安)できないです。甘いです。

(杉山)1回1回の歯磨きの積み重ねが必要ということですね?

(小安)どうしても歯磨きをサボりたかったら、食事を変えるしかないです。
糖のない食事にして、そもそも菌が生息できない口内環境を作る。

(杉山)糖が減ると、歯垢もつきにくい?

(小安)つきにくいです。

(杉山)なるほど。そんなに変化があるんですね。
この動画を見てる子育て世代は、子どもの歯を磨かなければいけませんよね。
歯磨きは、食事ごとにやった方がいいですか?

(小安)出来たら、食事ごとに磨いた方がいいです。
ただ、一番よくないのが、子どもが歯磨きや歯医者に行くことが嫌だって思うこと。
「歯医者=痛い・怖い」という小さい時のトラウマって一生抱える。

先端恐怖症の人にずっと先端向けてるような状態になっちゃうので、ずっと歯医者が嫌いでいることは、歯がどんどん駄目になるようなレールを敷かれているようなもの。
まずは歯ブラシや予防が、楽しいし、自分のためだということをいかに認知させるか。そこですね。

(杉山)究極で言うと、歯磨きが大嫌いになるより、歯磨きは時々親がちょこちょこ磨いている程度の方が、先々考えるとまだまし?

(小安)そう、そう。

(杉山)うがいだけでも違うと聞きます。
歯磨きはしなくても、毎食後うがいをする子どもになって、別に歯医者は嫌いではないという状態でもいい?

(小安)小さい時に虫歯の菌がいなければ、生息できる環境ではなくなる。
口の中には菌のバランスがあり、例えば菌の生息数が少ないなら、そんなに歯磨きを一生懸命やる必要はない。そもそも虫歯にならない。

昔診た高齢の患者さんは、何回診ても虫歯はなく、歯も全部そろっていて、すごくいい状態でした。
歯磨きはあまり上手ではなく、汚れはついているが、全然悪くならない。
ちょっと歯茎が腫れてきている程度でした。

その患者さんが、明らかに悪化した時期はありました。
聞くと、「歯ブラシは2日に1度ぐらいしかやっていない」とのこと。
「それでこんなにいい状態なの?」と驚きました。
「最近は更に、3日に1度ぐらいにサボってしまっていた」と(だから、状態が悪化したのでしょう)。
「せめて1日に1回ぐらい頑張ってください」と、お伝えしました。

それでも歯が残っている方は、残っている。
そこを目指せるかどうか。それがいいとは、言いませんけれど。

(杉山)歯が生え始めてから1・2歳ぐらいの頃まで使う、ゴム製の歯ブラシみたいなやつがありますよね。
あれで、めっちゃ磨きますよね。
親としては、「ここでやっておかないと、虫歯になっちゃう」「一度虫歯が出来ちゃったら終わりだ」という気持ちになっていると思うが、それは大して必要がない?

(小安)別に、そこまでは必要ないですね。

(杉山)人に口の中にものを入れられるのを、ものすごく嫌がったりする子もいると思います。

(小安)それが一番まずいです。
親がやって口を開かないものを、我々歯科医が開かせることが出来るかというと、それは無理。
そうなると、かわいそうですが、昔の専門病院などでは、ネットでぐるぐる巻きにして泣き叫ぶ子を無理矢理治療することなどもあった。
虐待に加担させるなよ、と思います。

口の中はキレイにするのが当然だよっていう環境を、いかに親が誘導していくか。
親が「歯医者は怖いところだよ」というようなことを言っちゃうと、刷り込みで子どもは怖くなっちゃう。
むしろ、親が超笑顔で「私歯医者行ってくる!いいでしょ?口の中、さっぱりするから!」という調子なら、子どもも「え、そんなに歯医者っていいんだ」となる。

美容室行ってきたお母さんが「見て見て」みたいになってるぐらいの気持ちで歯医者に行って帰る。
それぐらいの刷り込みをすれば、もう間違いないです。

(杉山)美容院と同じテンション。

(小安)そう。
「お父さん、マッサージ行ってきて超気持ちよかったよ」っていうのと同じテンションで、「口の中スケーリング(歯周病や虫歯の原因となる歯石を取り除くこと)してもらって超最高だったよ」。これですね。
子どもは見てますからね。

(杉山)親が、(歯医者に行くことを)罰ゲームみたいに言うじゃないですか。

(小安)そう!ほんと、そうなんですよ。
こう言っちゃなんですが、僕ら歯医者は嫌われ者なんですよ。
医者も結構嫌われますが、歯医者は特に、デフォルトが「痛い」ですから。

そういう環境を、今後世の中から消していきたいなと思う。
僕らも、泣かせるために仕事しているわけではなく、その子が健康な状態になってほしいというのがあって歯を治しているので。

必要不可欠なのは、親御さんの協力です。
歯科治療って、歯医者だけでやるものじゃない。
歯科医、患者さん(子ども)、親の三者の連携がすごく大事。

そこに、衛生士さんや技工士さんなどいろんな人が関わってくるので、いかに連携を取れるか、そこに尽きます。
親御さんには、「歯医者さんは怖い・嫌い」といった刷り込みだけはやめてほしいと、本当にお願いしたいです。

(杉山)なるほど。確かに。
そもそも、なぜ子どもたちは歯磨きが嫌いなんでしょうか?

(小安)たぶん、親が歯磨きをイヤイヤやるからだと思います。
親も歯磨きを楽しくなさそうにやるから、子どもも歯磨きの人生の中での重要性を感じないと思うんですよ。
親がにこにこ笑顔で歯磨きをしていたら、子どもも、「これは、僕もやらなきゃいけないのかな。お父さん、歯ブラシを楽しそうにやってるな」と感じる。

モチベーションアップに繋がるなら、何を使ってもいいと思います。
「1本1000円する高級歯ブラシだぞ」とか、電動歯ブラシを使って「かっこいいな」なんて言って見せるなど、子どもの興味を引くようなものを使ってみる。

歯磨き粉も、ちょっと高級なものや海外から輸入されたものなどを「これ、いいやつなんだよ」など言って使うのも、モチベーションアップに繋がる。
薬局で買った100円台の安いどうでもいい歯磨き粉を使ってやっていたら、歯磨きへのテンションが上がるわけはない。

(杉山)そういう意味では、(子どもに歯磨きへの興味を持たせるきっかけとして)アンパンマンなどキャラクターの歯磨き粉なども、いい?

(小安)そうですね。とにかく、興味を持たせる。

(杉山)親の仕上げ磨きが、子どもにとって「痛い」「気持ち悪い」といったことなどもあるのでしょうか?

(小安)正しい歯磨き・仕上げ磨きの方法を、親御さんがちゃんと研究されてないと思います。
歯医者さんに行った際、衛生士さんに口の状況を診てもらった後、磨き方を教えてもらえます。
「こうすれば、子どもも喜ぶんだな」とか、それを勉強する。
とにかく、慣れです。
磨き方にも、「○○法」といった技がたくさんあるので、そこをちゃんとにマスターしてもらうといい。

(杉山)歯磨き中、子どもは嫌がってよく動くと思います。
そういう時には、やめた方がいい?

(小安)嫌がったら、やめる。
嫌がっているのにやっても虐待と一緒になっちゃう。

歯磨きに関しては、苦労されている方が多いと思います。
親が無理やり口を開けさせて、ではなく、まず子どもが自分で歯を磨く。
その後、子どもが磨いただけで終わらせず、親が仕上げ磨きをするようにします。
我が家は子どもが自分で歯磨きした後、「パパ、仕上げ磨きして」と持ってきますよ。

それから、よく勘違いされていることですが、「ブクブク、ペッ」といううがいは、1回でいいんです。
(うがいを何回もすると)歯磨き粉に入っているフッ素や歯質を強化する成分を、全部流してしまっています。
歯磨き粉って、大量に飲み込まなければ、そんなに害のあることはない。

我が家でも、「ブクブク、ペッ」が出来ない小さな頃には、ジェルを米粒大ぐらいつけて歯磨きし、吐き出せそうだったら「ペッ」てしてね、と伝える程度。
その時は、口をゆすいでもいないです。

(杉山)なるほど。
ゆすがなくても問題ないぐらいなんですね
身体に入って害のあるようなものは、そもそも使わないか。

(小安)そう、その通りです。
フッ素など気にされる方もいるので、無添加の歯磨き粉を使ってみるのもいいかもしれません。
僕は一時期、海外のオーガニック歯磨き粉を使っていた。
ココナッツオイルが入っているもの。ココナッツオイルは、意外といいんですよ。

(杉山)歯磨き粉は、モチベーションの部分では、ひとつのツールとして有効というお話がありました。
一方、歯磨き粉自体がよくないという説もありますよね?

(小安)良くないです。

(杉山)(笑)

(小安)正直、歯磨き粉は、なくてもいい。
ブラシだけで磨いて全体に汚れが付いてないのが、一番いい状態です。

歯磨き粉に入っている薬効成分は、そんなに強いものではない。
口の中にいる常在菌をやっつけられるというのは、変な話、ベロや粘膜といった部分にもダメージを与えるような成分ということになる。
だから、そんなに薬効成分は強く作られていない。
これがひとつ。

日本の歯磨き粉は、甘いけれど、わざとちょっと変な味をつけてあるんですよ。
これも理由があって、あんまり美味しいと食べちゃう子がいるから。
だから歯磨き粉は、極力少量のみ使う。
いっぱいに使ったから、いっぱい治るというわけではない。
あくまで、歯磨き粉は歯ブラシの補助ぐらいの気持ちでいいと思います。

(杉山)フッ素は、悪いものではない?

(小安)フッ素自体は、フッ化カルシウムという状態になり、歯が溶けにくくなるのがデータとしてある。
フッ素を使うことは、いいと思う。
フッ素を気にする前に、砂糖を気にしてほしい。
いくらフッ素を使っても、そんなに甘いものをたくさん食べていたら、そりゃあ歯も溶けますよ。

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