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【Part1 最近の子どもたちの歯は?】
【Part2 歯・骨にいい!オススメのおやつ】
【Part3 虫歯と糖のお話】
【Part4 歯科との上手な付き合い方】
【Part5 歯にいい食べ物の選び方】
<お話を聞いた人:小安正洋さん>
歯科医師・歯学博士 。中目黒コヤス歯科院長。
昭和大学歯学部兼任講師、厚生労働省認定臨床研修指導歯科医師であり多くの後進を指導 。日本歯科審美学会(認定医)や日本歯科保存学会など多くの団体に所属する一方、アーティストとしても活動。過去にはm-floのVerbalと共にMIC BANDITZや、“デブパレード”のメンバーとしてテレビアニメ「NARUTO」のエンディングテーマを担当した経験を持つ。打首獄門同好会の「歯痛くてfeat.Dr.COYASS」で客演。日本武道館のステージで全力のラップを披露したことも。
中目黒コヤス歯科 https://dr-coyass.com/
<聞き手:杉山錠士さん>
兼業主夫放送作家。NPO法人ファザーリング・ジャパン会員。
1976年、千葉県生まれ。高2と小3という年の離れた二人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、FMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆し、「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。子育てアイテム「パパのツナギ」企画制作販売、パパ向け情報サイト「パパしるべ( https://papashirube.com/ )」編集長。
◎協力:Read it LOUD阿佐ヶ谷校(アルーク阿佐ヶ谷内)
トーク内容テキスト(一部編集しています)
(杉山)口の中のphを健康な状態・いい状態にするために、食べ物を食べる順番も関係がありますか?
(小安)口の中だけのことで言うと、順番は特に関係ないですが、血糖値の上がり下がりに関しては、最初に野菜や汁物を食べてから、おかず、ご飯を食べる順番が一番いいかと思います。
(杉山)野菜を食べると、口の中の状態が変わる?
(小安)野菜自体ではそんなに変わりません。ドレッシングなどをかければ別ですが。
ただ、野菜は繊維質なので、ちゃんと噛むことには繋がります。
(杉山)その後にスープ…発酵食品である味噌汁とかは、いいですか?
(小安)味噌汁は、いいですね。
(杉山)次におかず、タンパク質、という順番で、ちゃんと噛む。最後に、ご飯。
(小安)そうです。
最初に野菜を採ることで、血糖値が上がりにくくなります。
言うこと聞かずに泣いて暴れたりする子どもがいると思いますが、あれは、血糖値の上がり下がりが激しすぎて、無理やり暴れてアドレナリンを出して血糖値を上げているんです。
低血糖の状態なんです。
歯科検診とかで大泣きする子が、口の中が虫歯などで崩壊しているケースは、すごく多いです。
(子どもが泣いたり騒ぐのを)親御さんが甘いものなどをあげて、黙らせている。
甘いものを食べると、血糖値が上がり気分がよくなるが、その後血糖値が下がってイライラして暴れる…この繰り返し。
虫歯も多いし、精神的にも安定しない。
(杉山)先ほどのご飯を食べる順番ですが、コース料理と同じ順番ですよね?
(小安)そうそう!その通りです。
(杉山)子どももですが、大人も一緒ですね。
大人も子どもも、口の中の状態がよければ、虫歯にもならないし、イライラもしない。
(小安)その通りです。
現代になって、炭水化物のコラボレーションがすごく増えてきている。
例えばラーメン屋に行くと、チャーハンセットとか、餃子セットとか…。
「炭水化物 featuring 炭水化物」みたいな感じで。
糖質量が通常の日本食のご飯で摂る以上に、多くなっている。
そうすると、いろいろなリスクは高まってきているんじゃないかなと。
僕も大好きなんですけれど、「オン・ザ・ライス」されている、丼もの。
「○○丼」っていう状態は、食べた瞬間に血糖値が一気に上がるので、リスキーな食べ物じゃないかと思います。
ハンバーガーなんかもそうです。
(杉山)メンタルとか身体の中だけじゃなくて、歯に対する血糖値の影響はありますか?
(小安)歯に対しては、大人で言うと、歯周病など、歯茎に関すること。
例えば、糖尿病の人が悪化すると、毛細血管がダメになって血管がボロボロになり、指を切断せざるを得ないケースなどもあるようです。
歯茎のピンク色の部分って、全部、毛細血管。
血糖値の上がり下がりがあると、血管が全部攻撃されて、ボロボロになる(グルコーススパイク)。
歯周病は、口の中の菌が歯茎の中に入り込んで悪さしている状態です。
だから、菌が多いというのもまずいけれど、もうひとつ、自分の身体の防御反応として粘膜を守ったり、強い血管を作ったりというのも、すごく大事なこと。
血糖値の上がり下がりの激しい人は、簡単に血管が破れるので、歯ブラシをするだけでたくさん出血するんです。
血があるということは、血管が破れているということ。
そこから、菌は簡単に入ってきてしまう。
歯の生え変わりの時期など、歯茎が腫れてる子が多い。
歯肉炎と言って、簡単な歯周病のような状態。
お子さんが「歯茎が腫れてますよ」と言われたら、歯科の先生は歯ブラシの指導しかしないかもしれないが、併せて食生活を見直す方がいいと思います。
(杉山)そんなに関わるものなんですね!
(小安)めっちゃ関わりますよ。
(杉山)先ほど(Part2)、稲作が始まって虫歯が見られるようになったという話がありました。
米も、虫歯の餌になるんですか?
(小安)そうです。米は糖質ですから。
炭水化物は、食物繊維と糖質を合わせたもの。
現代の私たちが食べているほぼ全てのものが、虫歯の要因です。
(杉山)虫歯の要因の中でも、米は上の方に当たる?
(小安)そうです。
(杉山)砂糖、甘いものが虫歯の原因というイメージが強いです。
「甘いものを食べたら虫歯になります」と言うけれど、ご飯を食べていても、虫歯になるんですね?
(小安)なります。ただ、一番ダイレクトに虫歯の原因になるのは、やはり糖です。
炭水化物は、糖が食物繊維でくるまれている状態なので、代謝するのに時間がかかるので、そこまでダイレクトに悪さはしないんです。
砂糖は一気に悪さをします。
虫歯の原因になるミュータンス菌という菌は、砂糖が口の中に入った瞬間に一気に増える。
(杉山)祭りですね…(笑)。
(小安)そう、祭りです。ゴールドラッシュです(笑)。
お金が上から降ってきているようなものですから。
(杉山)グラニュー糖、三温糖、黒糖、甜菜糖…
糖にもいろいろな種類がありますが、違いはありますか?
(小安)一緒!(笑)
(杉山)(笑)
(小安)あくまで呼び方が違うだけで、基本は全部「糖」と言われるもの。
本当に気を付けるなら、ステビアやラカントといった、「代用糖」と言われるものを使うのが、好ましいかな。
(杉山)甜菜糖も、同じところに入ってくるんですね…。
(小安)基本、一緒ですね。
甘いものって、脳が騙されちゃう。
ちゃんとしたエビデンスがあるかどうかは定かではありませんが、甘いものは依存性がコカインの8倍っていうデータもありますね。
「ケーキ食べなきゃやってられない」みたいな甘党の人に、「ケーキを1週間やめて」って言っても、絶対やめられないと思う。
小さい時に甘いものをあげればあげるほど、依存性が高くなっちゃいます。
子どもに「甘いものばっかり食べてるから…」なんて怒る親御さんもいるが、(いやいや、あげてるのはあなたでしょ)なんて、内心思ってしまいます(笑)。
(杉山)甘いものを覚えさせちゃったからにはですね…。
(小安)そう、しょうがない。
1回覚えたら、もう忘れられないので。あとはもう、付き合い方です。
これは子どもだけじゃなくて、大人もそう。
「甘いケーキが大好きなんです」という人で、口の中を状態を見ると、(うわあ、どうしよう)と思うケースもある。
でも、こういう話をしても、当然甘いものをやめられないので、どういう指導をして、どうやって治療していこうか…といつも悩んでいます。
一番手っ取り早いのは、甘いものを完全にナシにする、断糖する。
でも、なかなかそれが難しいので、甘いものとの付き合い方をどう説明して、やってもらうか。
(杉山)料理に砂糖って使いますよね。これは、致し方ない?
(小安)「NARUTO」のエンディングをやっていた頃、体重が今より30キロ多かった。
マックスで109キロあったけれど、そこから、基本的に食事だけで体重を落としました。
その時は糖質制限をしました。
主食をなくしておかずのみにすると、何が起こるか?
僕らの食事の味付けって、「ご飯ありき」なんですよ。
ご飯を食べるから、味付けが濃くなるんです。
お米がなかったら、味付け薄くても、おかずはめっちゃおいしいです。
最初はなんか物足りなく感じたけれど、味覚が冴えるようになるので。
例えば焼肉屋で、お米頼んじゃうと、お肉をたれでベタベタにして食べることになる。
けれど、肉だけだと、意外と塩だけで味付けして食べて、素材の味だけで楽しめるようになったりする。
これも、米に僕らが騙されてるんです。
ナポリタンも、ケチャップをたくさん入れてやったら、美味しいじゃないですか。
パスタ自体が糖質で、本当は甘いはずなんだけど、炭水化物になって(食物繊維に糖がくるまれているので)甘さが隠れちゃってる。
だから、更にケチャップで甘い味付けにしてしまう。
より甘い味付けにして、口の中にミュータンス菌が生息しやすいよう、脳が騙されているんです。
(杉山)なるほど。
もちろん、子どもに食べさせるものには気を付ける必要がありますが、ただ子どもにだけさせるのでなく、親もルールを守ってやっていくことが大事そうですね?
(小安)それは、食事だけでなく、全てのことに言えますよね。
例えば子どもに「ゲームやめなさい」って言いながら親がスマホでゲームやってたら、説得力がないじゃないですか。
それと同じで、虫歯なくそうと思ったら、食べ物を変えるなど、親がやっぱり実行しないと。
小さい子どもは親の意向に依存するから、まずは、親がガラッと変えることで、子どもにもそれがちゃんと伝わる。
子どもに「勉強しなさい」と言っても、勉強しない。
親が家で仕事したり、勉強したりという姿を見ると、「お父さんも頑張ってそういうことやってるんだ、俺も宿題やろう」と思うかもしれないです。
やっぱり第一歩は、そこだと思う。
まず、親がやって見せる!そこからじゃないですかね。