現役保育士が教える子どもとの接し方【Part5 Q&A/現役保育士からのメッセージ】

子育て

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<お話を聞いた人:杉本倉規さん>
奈良県出身。聖和大学 幼児教育学部幼児教育学科 (現 関西学院大学 幼児教育学部)卒業。
保育士→デューク更家の弟子→モデル→俳優と様々な職を経て、カナダのトロントへの留学中に日本の保育を改善することを決意。保育士をしながら保育園の実状を調べ、現在は保育問題の啓蒙活動やコンサルティングにも関わる。

<聞き手:杉山錠士さん>
兼業主夫放送作家。NPO法人ファザーリング・ジャパン会員。
1976年、千葉県生まれ。高2と小3という年の離れた二人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、FMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆し、「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。子育てアイテム「パパのツナギ」企画制作販売、元パパ向け情報サイト「パパコミ」編集長。

トーク内容テキスト(一部編集しています)

(杉山)先生方はどうやって心の余裕を保たれてますか?
普段の生活から心がけていることなどがあれば、教えてほしいです。

(杉本)心の余裕ですね。
ちょうど今年度は、まさに修行させられた年ではありましたね。
普段から感情的にならないように、抑えるっていうのを意識しないと、コントロールはできないです。

(杉山)それは保育中?

(杉本)保育中です。
1人の子を相手にしてわけじゃなく、あちこちでいろいろなことが起こっているので。
なおかつ、1回言って即同じことをされたりとかすると、やっぱり人間なのでイラッとするんですよ。
でも、イラッとしたのを子どもにぶつけるのは意味がないし、保育士としてもダメなので、抑えるように、ふーっと一呼吸置いたりしています。

ただ、コロナになってからは、仕事以外からのストレスも結構ある。
そのストレスを子どもにぶつけるのは全くもって違うんですけど、やっぱり人間なので…そこをすごい努力している。

深呼吸は、結構大事かもしれないですね。
注意するときに、呼吸を整えてちょっと落ち着かせる。
脳に酸素をいっぱい送る。

保育士といえども、やっぱり人間なので、日々意識していくしかないですね。
日々トレーニング。

(杉山)保育園では自制して、園外ではもう少し感情を出すというよりは、普段から園内外で、両方ともアンガーマネジメントのようなことをやって、しっかり安定させている?

(杉本)他でストレス発散できていないと、自制するのは難しい。
どうやったら落ち着けるだろうというのを、自分なりに探していかないといけないです。
僕の場合は、深呼吸ですね。
一呼吸置いてから、「今走ったら危なかったよね」と注意する。

コロナ前はそんなことしなくてもよかったんですけど、思ってる以上に、無意識の中でストレスがたまっている。
今年に関しては、自制ができてなかったなという反省も日々あった。
反省と改善の努力をした時期だった。

お子さんを育てていらっしゃる親御さんにしても、やっぱりそれは同じだと思います。

ただ、自分を責めすぎないのは大事。
結局やってしまったことはやってしまったことなので、「次は頑張ろう」って切り替えた方がいい。
そこで自分を「ダメな親だ」って責めるのは、悪循環でしかないので。
自分は責めすぎず、「次は頑張ろう」と前向きに、日々、取り組んでいったらいいなと思いますね。

(杉山)発散するか、練習するか。

(杉本)あと、声を大きく出さない意識を持つ。
声出ちゃうんですよ。
そこで声を抑えると、ちょっと自制しやすいかもしれません。

(杉山)瞬間的に反応しない?

(杉本)瞬間的に大声を出すところを、声を抑える。
感情ではなく、声を抑える。

(杉山)感情で行動を制御しようとするのではなく、行動で感情を制御する?

(杉本)そうです。「笑顔で怒れない」という理論と一緒ですね。

(杉山)先ほど、保育園に預けることは悪だと感じている保護者が多いという話があったが、1歳児より0歳児の親のほうが、罪悪感が強いということはありますか?

(杉本)そうみたいです。
産んですぐ人に頼るのは違うんじゃないかって感じる方が多いみたいです。

でも、昔はおじいちゃん・おばあちゃんと一緒に住んでて、手伝ってもらっていたからうまくいっていただけの話。
今は、おじいちゃん・おばあちゃんと離れて住んでいる方が大半だと思うんです。

そうなると、他の人に助けてもらわないと子育てが出来ない。
たまたま今までは周りの環境として、おじいちゃん・おばあちゃんなど身近で助けてくれる人がいたからうまく回っていただけで、いなければ、結局は誰かに助けてもらわないと結構厳しいのが、子育て。

だから実は、自分一人で育てるっていうのは、まずないんです。
ただ、手助けをしてくれるのが、近しい人か、他人かだけの違い。
その子を育てるいう意識は保育士も一緒なので、そこの思考の切り替えをしてもらえればいい。

だから、全然罪悪感を感じる必要はないんですよ。
そもそも、親一人で赤ちゃんを育てるのは無理なので。

(杉山)今、女性のキャリアを考えて、会社では早く復帰することが多い。
…でも、多分キャリアだけじゃないと思うんですね。
早めに預けた方が、預けることに対する親の慣れみたいなのがあるのかもしれない。

実際、うちもがっつり0歳児から預けていた方なので、気持ちの持ちようですよね。

(杉本)気持ちの持ちようというのと、もうひとつ。
これは僕の経験で、最初に勤めた時に学ばせてもらったことなのですが。

0歳児の男の子の保護者のお話。
ご両親ともすごく若く、朝、開園と同時に預けに来て、一番遅い時間で迎えに来ていた。
でも、その子が0歳児のクラスで、一番表情豊かで安定していた。

それはなぜかっていうと、時間の長さじゃなくて、短い時間でもご両親がどれだけその子と関わってきたかという、濃度ですね。

その子の連絡ノートには、びっしり書かれています。
やっぱりそこまで書くというのは、短い間にどれだけ集中してその子のこと見ていたかなので。
どれだけ短い間でも、子でもと密に関わっていけてるかどうかっていうのが大事。

預けている間は、保育士さんにその子の健康状態などしっかり見てもらって、おうちで短い間でもしっかり関わってあげるってことさえしていれば、何も問題ないし、子どもにとっては十分プラスで成長してくれる。

このことを僕は、実際に見て知れた。
その若いご夫婦は、ご両親と住んでいたわけではなかった。

ちょうど反対の環境もあった。
家にいる時間は長くて、おじいちゃん・おばあちゃんも多分いたと思うが、それでも安定しない0歳児もいた。
連絡ノートは「元気です」「夕飯は○○を食べました」だけだったりする。
たまたま比較対象があり、より一層知ることが出来た。

時間の長さじゃくて、濃密さだけなので、子どもを預けて、キャリアを積みたい・働きたいという気持ちもしっかり持ってもらっていいと思います。

(杉山)先入観として、若いし、忙しそうだし、おじいちゃん・おばあちゃんのサポートもないし…というのがあるが、それだけではわからないですね。

(杉本)そうですね。
子どもにとってプラスかどうかっていうのは、本当にそれだけではわからない。

(杉山)一人一人の心がけと行動次第で、全てが変わると。

(杉本)そうですね、本当にそこですね。

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