現役保育士が教える子どもとの接し方【Part3 家庭と園は協力して子どもを育てる!】

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<お話を聞いた人:杉本倉規さん> 奈良県出身。聖和大学 幼児教育学部幼児教育学科 (現 関西学院大学 幼児教育学部)卒業。 保育士→デューク更家の弟子→モデル→俳優と様々な職を経て、カナダのトロントへの留学中に日本の保育を改善することを決意。保育士をしながら保育園の実状を調べ、現在は保育問題の啓蒙活動やコンサルティングにも関わる。

<聞き手:杉山錠士さん> 兼業主夫放送作家。NPO法人ファザーリング・ジャパン会員。 1976年、千葉県生まれ。高2と小3という年の離れた二人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、FMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆し、「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。子育てアイテム「パパのツナギ」企画制作販売、元パパ向け情報サイト「パパコミ」編集長。

トーク内容テキスト(一部編集しています)

(杉山)保護者によって、やりやすい/やりにくいというのはりますか? まず、こういう保護者とはやりとりがしやすい、という例を聴かせてください。

(杉本)一番やりやすいのは、積極的に子どもの家での姿をさらっと教えてくれる保護者さん。 それがわかるのとわからないのでは、全然違うので。

(杉山)家の環境というより、家での子どもの姿が聞きたい?

(杉本)環境もわかればいいですけれど、家庭事情を教えてくれる人はまずいないので。 家での子どもの姿を知っておくと、家と園での姿が一緒なのか違うのかわかる。 それによって、園では自分が出せないのか/自分を出せているのかなということががわかるので。 乳児の場合は、連絡ノートがあるので、それにしっかりと書いてくれる方が、保育士側はすごく助かります。

(杉山)連絡ノートは結構丁寧に書いてほしいと?

(杉本)書いてくれるとすごく助かります。

(杉山)親の感想みたいなことを書かれていても困る?

(杉本)いや、それでもいいです。 親の気持ちでも悩みでもいいですし、昨日の夜はこういう風にして過ごしてましたとか、これをしたら楽しそうでしたとかでもいいです。 いろいろな情報をくれるっていうことが大事です。

「元気でした」っていう短文で終わる方がいるが、それが一番困るというか。 口頭で言ってもらえれば、十分伝わるので、「元気です」以外のことを書いてほしい。

(杉山)耳が痛いです。自分も、忙しい時には本当に短かったからな。

(杉本)短いときがあってもいいんですけれど、極力情報はほしいという意味もあるので、それを出してくれる保護者の方はすごく助かります。

(杉山)連絡ということで言えば、情報を教えてくれないと困るということがあると思う。 他に、こういう保護者さんはちょっとやりにくいというのはありますか?

(杉本)素を出してくれず、いいように見られたいっていう風に接してくる保護者の方は、本心がわからない。 この場合、子どもたちに対して、いろんなことをしてあげにくいです。 情報が全てなので。

コンサル時にも、現場の保育士や上司にお伝えしているのが、やっぱり一番大事なのは現状把握。大人にしても子どもにしても。 現状把握するためには、情報があって嫌なことはない。あればあるほどいい。

いいように見られたいと装って関わってこられると、保護者の普段の姿が見えない分、子どもの姿だけで想像しないといけない。 うまくいっているときにはいいけれど、子どもが不安定な時などに対応できる範囲が限られるっていうのがありますね。

(杉山)必ずしもそうではないと思うが、装う保護者の子どもは「いい子でいなければ」など装ったりしているということもありますか?

(杉本)2パターンある。 家でのストレスがたまっていて園でが出ちゃう子もいるし、家で大人の喧嘩などを見ていると擦れた思考になっていく子どももいる。

そうなると、お友だちへの対応が冷たかったりとか、興味がなかったりとかということもある。 装っている保護者の方のお子さんは、何かしらポジティブじゃない行動をするという傾向はあります。

(杉山)親の影響って大きいと思います。 子どものこういう行動・言動が出たら「ちょっとやばいな」と感じる、シグナルはある?

(杉本)注意をしても、その後、秒で同じことをするというパターン。 この子はまず、人の話を聴くことを普段からできていないんじゃないかとか、言っても聴いてもらえないっていう経験が多すぎるのかなとか考えます。 さすがに、秒で同じことを繰り返すという子は、ちょっと気になります。 あとは、すぐ手が出る子っていうのはわかりやすい。

わかりやすいのは、その2つですかね。

(杉山)先ほど言っていた、お友だちに冷たいとかは?

(杉本)意地悪をするって感じですね。 明らかに何もしてない子から「○○された」とか言ってきたりとか、子ども同士も注意されてても聞かなかったりっていうのは、何かちょっとあるかなと感じます。

子どもが自分の思いが達成できていない経験が多いのではないかと感じたら、別のアプローチをしはじめます。

(杉山)未就学児の間に大事なことは、「話を聴くこと」と「自分の意見を言うこと」の2つを育てることだと聞いたことがある。

(杉本)そうです。 大人が子どもに対して、一人の人間として接するのと、「子どもだからこう言っておけばいい」というような声掛けしたり関わりを持つというのとでは、子どものストレスの度合いが全然違うんです。

話を聴いててもらえる、自分がやりたいことができたっていうことで、子どもたちはすごい達成感・充実感を得られる。 コミュニケーションが一番子どもたちの身になる一番最初の時期なので、そこを育ててげてあげるのがやっぱり一番だと思います。

「人の話を聴くこと」「自分の意見を言うこと」を育てるのが大事だというのは、間違いないです。

(杉山)保育士としてできることっていうのは、親の代わりをするという感じ?

(杉本)保育園は基本的に、家庭と協力して子どもを育てる施設。 協力体制であらねばならない。 それが最近いろんな社会事情で崩れてきているので、保育園もいろいろ変わっていかないといけな時代にはなってきていますね。

「子どもを保育園に預けること自体が悪」「親は自分の手で子どもを育てなきゃいけない」と、過度の責任感を持ってしまう保護者の方の少なくないという話を最近聞いて、驚いた。 人間は、哺乳類の中でも未成熟な状態で世に産み落とされる生き物なので、遺伝子的にも子どもを親一人で育てるのはかなりきつい。

そこを変えるためにも、保育園がいろいろと提示してあげないといけない。 そうでなければ、やっぱり親が勝手に責任をを背負い込んでしまい、子どもに手を出してしまったりという悪循環が生まれていく現実があるので、保育園も変わらないといけない時代になっていますね。 保護者の方には、「保育園は協力してくれる場所」っていうのを意識してもらうといいかなと思います。

(杉山)申し訳なく、「預かっていただいている場所」ではないではないということですね?

(杉本)はい。 その代わり、逆にすべて保育園にしてくれるわけでもない。 両極端な話なんですが、保育園が子育ての全てを担うわけでもないし、 親が全ての子育てを担う必要もない。 親と保育園が双方、同じ分だけ頑張れば、子どもは元気に育つっていうのを意識してもらえると助かります。

(杉山)だから保育士はまず保護者とコミュニケーションを取り、情報共有できるような関係を作るということ大事ということですね。

(杉本)「先生たちは忙しそうだからだから」と遠慮してしまう保護者の方も多い。 保育士・保育園不足だと言われている中で、保護者の方が「入れてよかった、お願いします」っていう思いを持ってくださっているのもわかります。 保育園がちょっと間口を広げてあげないと、保護者のその気持ちは変えられないなと思います。

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日々子育てに奮闘しているママやパパが、「○○しなければならない」という子育てから一歩離れて色々な考えを知り、ありのままの自分自身を受け入れて欲しいという願いを込めてサイトを制作しました。

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