強いカラダを作るパパと子どもの遊び方講座【Part5 ケガに強いポイント】

健康

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【Part6 親ができること】

<お話を聞いた人:櫻井優司さん>
フィジカルトレーナー、健康コメンテーター、株式会社ナビスポーツ代表取締役。
横綱朝青龍やF1レーサー片山右京のコンディショニングなどを担当してきたカラダのスペシャリスト。スポーツトレーナー兼業界初のリンパ専門家。「事故ゼロの現場リーダー」講演を全国で開催中。リンパアクティベーション協会顧問。櫻井優司オフィシャルサイト https://yujisakurai.jp/

<聞き手:杉山錠士さん>
兼業主夫放送作家。NPO法人ファザーリング・ジャパン会員。
1976年、千葉県生まれ。高2と小3という年の離れた二人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、FMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆し、「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。子育てアイテム「パパのツナギ」企画制作販売、パパ向け情報サイト「パパしるべ( https://papashirube.com/ )」編集長。

トーク内容テキスト(一部編集しています)

(杉山)怪我に強い身体を作るポイントって何ですか?

(櫻井)衝撃に強くなるというので、下に座布団を敷いて、階段の2・3段目からジャンプして着地をさせる。
その衝撃で、ひざ関節、股関節、脊椎が脳を支えているので、優しくそっと、音がしないように着地させるというのは、すごくいいトレーニングになります。

そうすると、衝撃でちょっと自転車で転んだり、運動会の練習で転倒したときなどにも、骨折に繋がらないんです。

(杉山)衝撃に慣れる。それは身体がただ慣れるだけでなく、その衝撃への対応の仕方を覚えるということですか?

(櫻井)覚えます。まずそれがひとつ。

ふたつ目は、骨密度。
骨粗しょう症。生理が終わった女性の方は、骨密度が低下して折れやすくなるとよく言いますよね。
実は男性の方も、酒の飲みすぎや夜更かし、ストレスなどで、骨の中からカルシウムが出てイライラを脳で消化するので、骨密度が落ちるんです。

衝撃に強くなる、振動に対処するのと同時に、骨密度を上げる。すごく重要です。

(杉山)骨が強くなると、ストレス耐性が強くなる?

(櫻井)そうです。
スポーツに限らず、研究者の方の実験の繰り返しなど、どんなことでも、「勝った」「負けた」とか「成功した」「失敗した」と一生懸命やってるときには、心や身体のストレスにすごく耐性ができて、強くなっていく。

だからいろんなことにチャレンジして、身体と心を鍛えることは、すごく重要ですね。

(杉山)体育会系の厳しい部活で、さんざんしごかれたから、ストレスに強くなった…というわけではない?

(櫻井)そうではないです。いろいろな行動をする。
例えば、吹奏楽部が地方大会に出場するときなどに、失敗したとか、順位がどうだったなどと一生懸命になる。
体育会系ではないところでも、一生懸命やるっていうことで、心の耐性ができるんですよ。

(杉山)骨密度に関わるストレス耐性というのもある?

(櫻井)もちろんそうです。

(杉山)要はたくさんしごかれて、運動してたからストレス耐性があるのではなく、身体が強いからストレス耐性があるということですね?

(櫻井)そうです。
だから、いろんなスポーツ、いろんな研究、いろんな文化系の活動でも、一生懸命やっているときには、ストレスを解消するために栄養を摂る。
そうすると、骨密度ってどんどん上がってくる。

反対に、ストレスに負けてくると食事が細くなる。
食事を摂れなくなってくると、ストレス耐性がなくなり、骨密度も低下する。
肩を打ったなどのちょっとした衝撃で、腕を骨折したなんていう方もいましたね。

(杉山)先ほど振動の話がありましたが、どういう動きをすると子どもの骨が強くなりますか?

(櫻井)縄跳びですね。ニョロニョロの紐の縄跳びでもいい。
それから、影踏み。白線を引いてジャンプする。ケンケン。ゴム跳び。
とにかく、ジャンプして着地するのを繰り返せば、骨密度は確実に上がります。

(杉山)(強くなるのは)足だけじゃないですね?

(櫻井)足で衝撃を受けた瞬間、脳が動くんです。
脳が動いた瞬間っていうのは、一番、衝撃に強い身体を作ろうと、強い耐性を作るので。
脳の上下です。

(杉山)直接的に腕などに振動が与えられたからではなくて、振動を脳が検知して、身体中に骨を作るように指令を出すということ?
絶対ないと思いますけれど、極端に言うと、その振動を、動いていない人に与えても同じようになるということ?

(櫻井)そうです。
電気屋さんに、ブルブルと震える振動マシンがよくありますよね。
あそこに座って振動を受けると、脳が振動するので、骨密度は上がります。
そういう実験もあります。

(杉山)なるほど。結構、理にかなっているんですね。

(櫻井)あれで、痩せるっていうのは嘘です。
骨密度は上がるから、筋肉運動反射でエネルギーは消費するけれど、痩せはしない。
運動をしていない人が振動マシンに座って、お尻や頭蓋骨が揺れることで、骨密度は高くなって耐性が付く。

(杉山)せっかくいい骨格があってもうまく使えてないと怪我をしますよね?
転倒などをしにくくなるためには、何を鍛えたらいいですか?

(櫻井)足のつま先上げをすると、前脛骨筋という向こう脛の前の筋肉が動く。
突っかかりにくくなって転びにくい身体になります。

(杉山)子どもが転ぶというのは、前すねの筋肉が足りないから?

(櫻井)はい。

(杉山)ぶつかって転びやすいのは、バランスの問題もありますか?

(櫻井)それもあるし、上半身がうまく使えてないんですよ。
先ほど話したはいはい運動をやると、上半身をうまく使える。

例えば、列に並んでいるときに、横を通り過ぎた人の肩がどんと当たったとする。
そのときに、身体をぐっと支えるっていうのができれば、衝撃には強いんですよ。

ところが、そのまま倒れて肩を地面や壁にぶつけてしまうと、肩の衝撃っていきなり頭蓋骨に来ちゃうので、鎖骨骨折、頸椎骨折、圧迫骨折などに繋がることもあります。
手を使うことを慣れさせるというのは、すごく重要ですね。

(杉山)そういう意味では、バランスや動体視力みたいなのが結構重要になってきますよね。
まず、バランスを鍛えるにはどうするといいですか?

(櫻井)バランスを鍛えるには、縄跳びやケンケン、片足立ち。
先ほど話した、Gをかけさせる動き。
回転をかけさせる、三半規管を鍛えることで、バランス力が上がる。
公園の遊具は、もっといろんなところで作ってほしいです。

(杉山)ブランコとか、飛び降りるとかがいいわけですね。
飛び降りるのも、Gがかかりますよね?

(櫻井)かかります。

(杉山)一方、動体視力っていうのを鍛えるためには何をしたらいいでしょう?
公園の遊具じゃないものを使ってもいいですよね?

(櫻井)ゆっくり、大きなボールからキャッチボール。
ビーチボールでお子さんとコロコロと転がし合ってもいいですね。
もし顔にドンと当たっても、そんなに痛くないし。
お子さんビックリして泣いちゃうことはあるかもしれないけれど。
でも「パパに当ててみろ」って言って、当たって痛がってやると、子どもって喜ぶじゃないですか。

大きなビーチボールから、徐々に小さなボールに変えていく。
100円ショップに売っているスーパーボールなどの小さなボールを、一度にたくさんポロポロって落としてあげると、どれを取ろうというので動体視力って上がってきます。

(杉山)なるほど、それは家の中でもできますね。

(櫻井)できます。

(杉山)動いているものを目で追うことが重要?

(櫻井)重要ですね。
そうすると、どれを追いかけようかという選択と、動体視力、それからそれに対する反射能力というのが同時に上がっていく。

(杉山)家にあるものでできることは?

(櫻井)家にあるものなら、ティッシュ。
ティッシュの角の1箇所をクルクルとこより状にして、頭の上からふわふわ…と落とす。
こよりを使ったティッシュ遊びです。

それから、100円ショップにあるような紙風船。
紙風船を上に上げるっていうのは、動体視力を上げる。

(杉山)上に上げるというのがいいんですか?

(櫻井)目線よりも上にあるものを追いかけると、手足が同時に動くんです。

(杉山)なるほど。

(櫻井)手足が同時に動くので、移動する。
それからそれを捕まえようとする。
だから、シャボン玉でもいいですね。

(杉山)シャボン玉はまさにそうですね。家の前でもできるし。

(櫻井)もちろん、交通量のあるところではできないけれど。
とにかく、目線より高いところで、キラキラして興味を引くものならなんでもいい。

(杉山)シャボン玉は、情操教育じゃなくて、身体を鍛えるのにもいいわけですね。

(櫻井)そうそう。

(杉山)動体視力を鍛えられるとなると、いわゆる危機回避能力も強くなる?

(櫻井)そうです。
掴もうとして、手と足のバランスも上がる。
遠近感。近いもの遠いものという、視力の矯正にもなる。

昔からある遊び。
60歳の自分が遊んだ時代と、杉山さんが遊んだ時代の間には10年・20年の差があっても、もあんまり遊びには差がなかったんですよね。

ところが最近は、ゲーム機を使った室内遊びが増えているし、コロナで学校に行けないなどもあり、遊び方がどんどん変わってきちゃっている。

そうすると、いくら画面の中が3Dで遠近感があると言っても、手を伸ばすということはなくなってしまった。
だって、手を動かすのは、これ(ゲーム機の操作)しかないでしょ。
そうじゃなくて、手を伸ばしてるものを掴むっていうのは、やっぱり体験してほしいなと思いますね。

(杉山)買い物や散歩のとき、ただ歩くだけではなく、ストラクチャを触ったり、段差を上がったり下りたりしてみるとか、そんな細かいことだけでも変わってくるということですよね。

(櫻井)三密を避けるのであれば、公園の人をいないところで木登りしたり、木に触れる。触れたときの皮膚感覚。
縄跳びを木の枝にひっかけて、ぶらぶらと揺らし、その先端のところを子どもと一緒に掴んで遊んでみたり。

(杉山)木にぶら下がるんじゃなくて、紐を木にぶら下げて、紐を掴んでみるということですね。

(櫻井)そうそう、そのぐらいだったら自然を壊さない範囲で遊んでいただける。
それから海、山、川などで安全確保をした中で、動きのあるものを追うことを体験させるって、大事だと思います。

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日々子育てに奮闘しているママやパパが、「○○しなければならない」という子育てから一歩離れて色々な考えを知り、ありのままの自分自身を受け入れて欲しいという願いを込めてサイトを制作しました。

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