育児サイエンティストが選ぶ!気になる子育て研究【Part2 パパの育児でIQが上がる?】

子育て

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【Part1「育児サイエンティスト」になったきっかけ】
【Part2 パパの育児でIQが上がる?】
【Part3 最近のトレンド論文は?】
【Part4「兄弟げんか」の研究がある!?】
【Part5 そいるのYoutubeで子育てをラクに】

<お話を聞いた人:育児サイエンティスト そいるさん>
育児研究YouTuber。チャンネル登録者数は4400人。
https://www.youtube.com/user/satopanman06/featured

2歳と5歳の子どものパパ。千葉大学教育学部→高校教員(専門は物理)→教育系営業職→育休1年→IT系営業職兼YouTuber。2人目の妊娠を機に育児書、育児論文を読み漁る育児マニアに。その中で信頼できる情報になかなか辿り着けないことに疑問を持ち、育児研究をベースにした発信活動を始める。「様々な育児情報がある中で信頼できる育児情報を発信し、より多くの家庭の幸せな子育てに貢献したい」という思いで発信活動を続けている。

<聞き手:杉山錠士さん>
兼業主夫放送作家。NPO法人ファザーリング・ジャパン会員。
1976年、千葉県生まれ。18歳と10歳という年の離れた二人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、FMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆し、「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。子育てアイテム「パパのツナギ」企画制作販売、パパ向け情報サイト「パパしるべ( https://papashirube.com/ )」編集長。

◎協力:Read it LOUD阿佐ヶ谷校(アルーク阿佐ヶ谷内)

トーク内容テキスト(一部編集しています)

(杉山)パパに関する論文のイメージで言うと、日本にはすごい少ないような気がするんですが、世界的に見ると多いんですか?

(そいる)最近すごい増えてきたように思います。
どうしてもママに関する論文の方が多いんですけれども、先進国をはじめとして男性の育児参加が増えてきていて、それに伴ってパパに関する論文も増えてきているなって感じます。

(杉山)なるほど。
実際にその論文や研究的なもので言うと、パパの育児っていうのはプラスに捉えられているのか、それともネガティブなのかどっちですか?

(そいる)間違いなくプラスです。

(杉山)ポジティブな結果が出てる研究が多いということですか?

(そいる)ほとんどそうです。
例えば、ラトガーズ大学の研究で、パパの育児参加が多ければ多いほど、子どもは非行に走りにくくなることがわかっている。
それの面白い部分としては、お金や物、食べ物とかの支援よりも、パパとの精神的な関わりの方がコスパがよく、子どもの非行を減らすんです。

子どものために仕事を頑張ることは大事ですが、それよりも、子どもと関わる時間を増やしてあげた方がコスパはいいんですよね。

(杉山)日本とか先進国って、いわゆる年収が高いとすごい教育をいっぱい受けれるから、学力上がりますよという研究が出るじゃないですか。
でも、一方で収入が高くなくても、子どもと関わることによって非行は減らすことができるという研究結果があるって事ですね。

(そいる)そうです。

(杉山)パパと過ごす時間が多いことで、頭が良くなるみたいなやつもあるんですか?

(そいる)そういったのもすごいたくさんあります。
IQが上がる、学力が上がる、コミュニケーション能力が高まる、情緒が安定する、などはパパが育児に参加すればするほど伸びていくので、やっぱりパパの育児参加っていうのは子どもにとってすごいいいことなんだなっていうのは、いろんな研究でわかっています。

(杉山)そうなんですね。
そういうのをもっと知ると、パパたちも育児参加したくなるというところはあるのかもしれないですね。

(そいる)ぜひ知っていただきたいです。
あんまりプレッシャーになってしまうとよくないかなと思うんですが、やっぱり子どもにとっては、パパといる時間っていうのは単純に嬉しいし楽しいことなのかなと思います。

(杉山)ちょっと、そいるさん的な見解をチラって聞きたいんですけど、パパの育児参加で何が変わるんですかね。

(そいる)いろいろな面があると思うんですが、例えばママの負担が減るっていうのが一つ大きいところがあります。

これも研究で出たことなんですが、ママっていうのはご飯を作ったり家事をしてあげたい気持ちと、子どもといる時間を大切にしたいという気持ちの板挟みに合っているっていうのがアンケート調査で分かっている。
それはある意味、パパにとってチャンスで、そこに関与することで、ママのストレスを減らして、ママの余裕が生まれることで、ママもより豊かな関わりもできるし、パパもママに貢献しているって思える。

そしてパパ自身も子どもと関わる時間も増えて、子どもと肌のふれあいとかもあり、ストレスが減っていったりするんですよね。
そういったところで、家庭がどんどんうまく回っていくんだろうなって思います。

(杉山)親の余裕があると、学習結果、IQなどが上がることと関係していますか?

(そいる)私の見解ですが、関係あると思います。
やっぱり親に余裕があるっていうことは、子どもの何らかのリアクションに対して、受け入れてあげられる。
子どもがより安心できる場所を作れるということは、子どもが何かにチャレンジしたりとか、失敗した時でもすぐ立ち直れるような場所がある。
そういうことで、結果、学力や能力が伸びていくのかなと思います。

(杉山)なるほど。
覚えている範囲でいんですが、学校の先生だった時に、授業とかに対してポジティブな子、ネガティブな子っているじゃないですか。
必ずしも全てわかるわけではないと思うんですけど、家庭が安定している子たちの方が、ポジティブだったりするんですか?

(そいる)それに関してはちょっと語らせていただきたいです。
私、高校の先生を2校経験していまして、1校は、すごく言い方が悪いんですが、県内で偏差値が一番低い学校。
もう一つは偏差値としては60後半ぐらいの学校を経験したので、明らかな差を感じています。

特に家庭の差、具体的に言えば例えばお弁当が全然違ったりします。
偏差値の低い方は、まずお弁当持ってこない子が多い。
コンビニ弁当を買ったり、作ってもらえなくて、子どももお金を使いたくないから、食べないっていう子もいました。

逆に偏差値が高い方は、ほとんどがお弁当をお母さんやお父さんに作ってもらっていて、彩りもすごくいい。
しかも、部活前に食べるようなプラスアルファのおにぎりとか補食も用意されていて、手厚いなってのを感じました。

(杉山)それはお金に余裕があるからというよりは、親が子どもに関わるなど、それだけじゃない感じのものがあるわけですね。

(そいる)そうですね。
子どもに時間を使ってあげてるなっていうのは感じます。

(杉山)確かにそうですよね。
別にお金に余裕があるからやってるわけじゃないですもんね。

(そいる)もちろん収入の差っていうのはやっぱりあるとは思います。
けれど、偏差値の低い学校でもお金持ちの家庭もいますし、逆に偏差値の高い方でも、あまりお金を持っていない家庭はいました。
その中で、やっぱり子どもへの姿勢だったり、子どもを見守る親の一言一言など、子どもに対する時間や思いのかけ方が違うなっていうの感じました。

(杉山)なるほど。
じゃあ卵が先か鶏が先かじゃなくて、親がそういう風に子どもに関わっていると、いろんな意味でよくなっていくっていうのがわかるわけですね。

ちなみに娘とパパって関係が難しいみたいな風にも思われがちなんですけど、その辺も研究として何かあるんですか?

(そいる)パパと女の子の研究はあります。
例えば、パパと長く時間を過ごしているとか、日常的に一緒にご飯を食べたりするような機会が多い女の子っていうのは、思春期になった時に望まない妊娠とか、危険な性行動が減る事が分かっています。

人間の生理的なことに関係していて、パパから関わってもらえなかった子どもの場合、生物的にちょっと危険を感じるので、早めに子孫を残そうとすると。
なので、あまり男性として魅力的ではない人とでも、性的な関係を持って、すぐに子どもを産む方へ向かうというようなことが、本能的、生理的にあるとその研究では書かれていました。

(杉山)そいるさんも娘がいますけど、問題が起きないようにパパのことが臭いって思ったりというのもあるわけじゃないですか。
それでも日常的には一緒にいた方がいいってことなんですね。

(そいる)そうですね。
研究のデータとしては時間が長い方がって出ています。

(杉山)いわゆる愛情を浴びて安心していると、子孫を早く残さなきゃって体が反応しないんですね。

娘と関わりがあることによって、他にもメリットはあるんですか?

(そいる)例えばパパがたくさん家事をしている場合、娘はパパもママも家事をする、ある意味男女平等っていう思考になっていくので、職業選びの時に女性っぽい職業にとらわれないで職業を選べるっていうような研究もあります。
そうなると結果的に男性と同じような職業を選んで、高収入な女の子になっていく。

(杉山)じゃあ研究結果的には、娘の収入のためには家事をした方がいいっていう言い方もできるということですね。
ジェンダーとかに関する意識も家庭内でかなり培われますよね。
そうであれば、男性も家庭に接してた方が、ジェンダーも差別的な目線じゃなくて、かなりいい方に考えられる感性を持てることに近づくのかもしれないですね。

(そいる)そうですね。

(杉山)海外の論文って多いと思うんですけど、日本との違いはありますか?

(そいる)実験的なことがしにくい印象があります。
例えば、母乳の影響がどうかといったことを調べる場合、日本ではママに母乳の期間とか頻度とかアンケートをとって、子どもの語学力が高くなったとか、どんな性格になったかというのを調べていくものが多いと思います。

海外、例えばベラルーシのすごく有名な研究なんですが、その研究だと、あるママには母乳っていいよっていう情報を与えて、かつ支援もします。
一方であるママには、何も支援しないということをするんですね。
これをランダム化比較試験って言うんですけど、こういった形で、あるママには支援をして、あるママには支援をしないっていう実験をする。

ちょっと日本では倫理的に難しいのかなって思うんですが、そういった、人を実験台としてできる研究があるかないかが海外と日本の違いなのかなと。

(杉山)それはそうですよね。
片方には支援をしないってなったら、その支援をしない結果の子どもたちには不利益になる可能性もあるって事ですよね。

でも、実験としてはそういうやり方をした方が、データは出やすいんですかね。
先生目線で聞きたいんですけど、どうですか?

(そいる)ランダム化比較試験っていうのは、比較的信憑性の高い研究だと言われているので、本当はそういったことをやった方が効果はわかりますね。

(杉山)どっちが正しいかじゃないと思うんですけど、その実験対象の子に不利益が出てしまったらまずいっていう風に日本では考えるけど、海外だと、もうちょっと先のことを見て、今そのデータをちゃんと取ったら後に役立つかもしれないと考えているんですね。

(そいる)その通りだと思います。

(杉山)なるほどなー。
日本じゃちょっと難しいでしょうね。

(そいる)確かに難しいですよね。

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日々子育てに奮闘しているママやパパが、「○○しなければならない」という子育てから一歩離れて色々な考えを知り、ありのままの自分自身を受け入れて欲しいという願いを込めてサイトを制作しました。

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