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【Part1 料理の入口は家庭での餃子作り】
【Part2 料理は誰もが成功体験を積める】
【Part3 食育レシピ<ギョーザ編>】
【Part4 食育レシピ<豚汁編>】
<お話を聞いた人:料理芸人・クック井上。(ツインクル)さん>
お笑い芸人/SMA所属、コンビ名“ツインクル”
フードコーディネーター・野菜ソムリエ・食育インストラクター・こども成育インストラクターなど、食の資格を8つ所有する料理芸人。TV・ラジオの他、料理イベント講師やMC・商品監修・レシピ開発・グルメコラムの執筆も務める。近年は地方創生・SDGs・食育関連にも力を入れている。出演番組はNHK『あさイチ』『グッと!スポーツ』、Eテレ『みいつけた!』、日本テレビ『ZIP!』、テレビ朝日『マツコ&有吉 かりそめ天国』、TBS『林先生の初耳学』、テレビ東京『しまじろうのわお!』『TVチャンピオン極』ほか。SMA ソニー・ミュージックアーティスツ所属。twitterアカウント:https://twitter.com/cook_inoue
<聞き手:杉山錠士さん>
兼業主夫放送作家。NPO法人ファザーリング・ジャパン会員。
1976年、千葉県生まれ。18歳と10歳という年の離れた二人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、FMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆し、「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。子育てアイテム「パパのツナギ」企画制作販売、パパ向け情報サイト「パパしるべ( https://papashirube.com/ )」編集長。
◎協力:Read it LOUD阿佐ヶ谷校(アルーク阿佐ヶ谷内)
トーク内容テキスト(一部編集しています)
(杉山)多分これを見ている方は、子どもが料理好きになってくれたら嬉しいなと考えていると思うんですよね。
それに関して思うところはありますか?
クックさんの経験が全てだとは言わないですけど、クックさんが料理をやりたいとかやってて楽しいとかっていうときはどんなときですか?
(クック井上※以下クック)今の時代、共働きの方とか(忙しい時間に)子ども来ても、「邪魔だから向こう行ってなさい」言ってしまう。
僕の感覚ですけど、親に言われた「邪魔だから」は、子どもにとって、「本当に僕って邪魔なの」って思っちゃうお子さんも多い気がします。
もちろん、揚げ物をしてたら危ないし、炒め物してたりすると、シャキッと炒めようと思ったら、時間の勝負だったりするときもある。
だけどお子さんが、「ちょっと見せて」って言ったら、「じゃあ、ちょっとつまみ食いする?」とか、台所に入ってくるのがタブーじゃないような環境を作る。
近くに来ると今はちょっと危ないなって思うときは、「サラダのレタスちぎってほしいんだけど」とか、ご兄弟いたら「どっちがちゃんと綺麗に盛り付けられるかやってみて」とか、そんな感じで体験に繋がると、料理をすることに興味を持つお子さんが増えると思います。
皆さんも家庭科の授業ってすごいワクワクした思い出がないですか?
お家でも、忙しいなかですけども、ちょっと料理に参加できる入り口みたいのを作ってあげるといいかなと思ってます。
それでも難しいのであれば、例えば、ふりかけご飯が食べたいという子どもがいたら、「あの棚に入ってるから、今日は何がいいか選んでおいで」っていうところからやらせてみる。2歳ぐらいの小さいお子さんでも、「じゃあ今日は僕これにする」とか、自主的に選ぶ、自主的に参加してるという場面を増やすのも大事かなと僕は思ってます。
(杉山)クックさんも小学校3年生と1年生のパパですよね。実際にそういうことをやられていますか?
(クック)ちょっと大きくなっちゃいましたが、ついこの間までは保育園生だったんですよね。
今はテーブルは変わっちゃったんですけど、前までは子どもの座っているところに引き出しがあって、「じゃあお箸出して」とか、「パパのお箸も並べて」とか、そんなことでもいいんですよね。
あとは、卵かけご飯する時は、こぼさないようにちょっと大きめのボウルに入れて、シャカシャカって子どもにさせる。
横に動かすと白身と黄身がよく混ざるよ、とか教える。
ちっちゃいお椀に入れて混ぜるとこぼしちゃって、そうするとお父さんお母さんまたストレスになりますから。
最初から大きな器でさせる。
(杉山)つまり、できないからやらせないんじゃなくて、できるようにちゃんと工夫をしてあげて成功体験を積んでもらうと。
(クック)その通りです。
「僕が混ぜた卵だから美味しいでしょって」子どもが言うから、「うわー〇〇君が混ぜてくれた卵、めっちゃ美味しいわ」って返したらまた混ぜたくなるんです。
また混ぜたくなるとですね、今度はお醤油もちょっと入れてもらう。
お醤油を入れた経験から、今度は卵焼きを作ってみようか、なんて。
お手伝いの蟻地獄ですね。はめていく(笑)。
そういう体験をした子どもが大きくなるとどうなるか。
実は僕ね、今お母さんが東京に遊びに来てるんですよ。
前まではね、「おかんのあの料理が食べたい」って僕が言ってたのですが、とうとうね「あんたが作ったあれが食べたい」って言うんですよ。もう2週間くらいいるんですけど、まだおかんの料理、僕食べてないですね(笑)。
なので、料理男子なんていう言葉ありますけど、別に男子も女子も関係ない。
基本ご飯食べないって方は世の中にいらっしゃらないので、男女関係なく、食べる側だけじゃなくて、作る側にも回ったら素敵だなと思います。
そういうちょっとしたフックをいっぱい見つけておくと、お料理が好き、お料理に興味がある子になるなぁと思います。
(杉山)もしかしたらクックさん家がそうだったのかもしれないけど、料理ができるっていうのが、勉強とかスポーツに並ぶ個性になり得るような気がします。
要は勉強ができる子、スポーツができる子、料理ができる子って、同じように褒めることができたら、すごい認められているなと子どもも感じると思うんですけど、そこは親次第ですかね。
(クック)算数が得意な子、漢字が苦手な子、理科は興味あるけど、社会はあんまり。いつまでたっても跳び箱が飛べないとか、かけっこがちょっと苦手とか、それぞれどのお子さんも、自分に対してネガティブに苦手意識を持ってるものが必ずあると思うんです。
でもお料理だけは全員が参加できて、全員が成功体験を積めるもんだと僕は思ってます。
めちゃくちゃ得意になる必要とか、めちゃくちゃうまくなる必要はないじゃないですか。
子どもの時から少しずつお料理に参加することで、一人暮らしした時に「あー俺はちょっと
料理苦手だからコンビニで買おう」じゃなくて、「家で作ったあれ作りたいな」、「おかんが作ってたあれ食べたいな」って思うんです。
電話して「おかんはあのお料理どうやって作ってたん?」ってわざわざ聞くように。
自分でスーパー入って買い物するような、最終的には僕みたいのが出来上がるかも(笑)。
なので、何か得意な科目とかなくても、お料理だけはめっちゃ得意ってなると思うんですよ。
(杉山)でも親が結構言っちゃうじゃないですか。そんなことするより勉強しなさいって(笑)。
(クック)うちは全然違います。
例えば子どもにYouTube見たいとかね、YouTube何本見ていいとか聞かれる。
うちは目標があって、テストで何点取ったらその日は何本見ていいよ、みたいなのがある。
ただ、それはお手伝いしたというのが土台にある。お手伝いしないと、いくら点数とっても、YouTubeを見たらダメだと僕はしてるんですよ。
自分自身で何かお手伝いできることを探させる。
「かあか(お母さん)、お風呂掃除しといてあげようか」なんて。
それを親に褒められると、子どもって嬉しいんですよね。
それでまたお手伝いする。
結果的にYouTube見たいというところから始まるのかもしれないけど、自分(子ども)は家族の一員なんだと、家族の中で何かお手伝いをするっていうのは必須なんだと思うようになる。
お料理も手伝ってもらいますが、食べる側だけじゃなくて、作る側にも回るのが必須なんだというのを刷り込んでます。
(杉山)そうしていくと自分たちがおじいちゃんおばあちゃんになった時に、息子とか娘の家に遊びに行ったら、何かねだられるんじゃなくて、逆に好きなものをリクエストできるようになるわけですね。
(クック)本当にその通りです。
難しく考えずにちょっとしたこと、例えば八百屋さんとかお魚屋さん、お肉屋さんとか、スーパーでも最近は結構お店の中にお魚屋さんが充実してたりとか、お肉のスペシャリストがいたりしますよね。
その店員さんとの会話を子どもに聞かせるっていうのはめっちゃ大事ですよ。
例えば「今旬でお安いお魚何?」って聞くと色々教えてくれる。
子どもと買い物にいって、この会話をするのは、めちゃくちゃおすすめでございます。
(杉山)確かに、今旬な魚はアジだよって教えるんじゃなくて、今旬なのはアジなんだよっていう会話を誰かがしてるのって、子どもたちってよく聞いてるじゃないですか。
その姿を見せることで勝手にインプットされてますもんね。
(クック)そうなんですよ。
どんな教科書よりも、どんな図鑑よりも、おそらく実際に一緒に買いに行って、実際に人が喋ってるのを聞いて、そういう方が残ると思います。
だってね、小さい頃に行ったキャンプとかバーベキューの時にちょっと手伝わらせてもらった記憶って大人になってもめっちゃ残ってますよね。
あれは非日常だけど、わざわざどっか遠くの山とか川とか行ってお料理しなくても、会話交わしてって、コロナ禍の今の時期は難しいかもしれないけど、「ちょっと今日お魚触ってみるかい?」とか、「お野菜袋に詰めて」なんてお手伝いさせるのはいい体験になると思います。
お肉も、細切れなのか、ロースなのか、厚切りなのか、何ミリでスライスしてとか、そういうのも非常にいい体験なんじゃないですかね。
(杉山)なるほど。
でもクックさんは、我が家もそうですけど、いわゆる男性が主体的にご飯を作りますよね。
でも世の中的にはまだまだやっぱり男性より女性の方が作る割合の方が高いです。
まあクックさんも僕も夫婦の協力や分担があれば、別にしなくてもいいとは思ってますが、そういう中でも、やっぱりパパも料理した方がいいんじゃないかとか、楽しいですよ、とかがあるとすると何でしょうか?
(クック)さっきも言ったけど、人間は誰かが食べる役で、誰かが作る役っていうんじゃないはずなんですね。
誰もが食べる側で、誰もが作る側。
ファッションに興味がある人ない人、車に興味がある人ない人は色々なタイプの人がいると思うんですけど、非常に困難な状況でない限り、お料理食べないという方はいないと思うんですよね。
なので、本当に簡単なことでもいい。
焼きそばの時にキャベツをちぎる、これはお子さんでもできますし、包丁を持つのが苦手というお父さんでもできます。
回鍋肉とかもキャベツを包丁で切るよりも、ちぎった方が美味しい。
ちぎった方が凹凸ができて味が絡みやすくなりますから。
朝、ドレッシングをかける前のレタスをちょっとちぎる。
ご飯を混ぜる、ご飯を研ぐ。これはめちゃめちゃお料理が苦手な男性でもできると思います。
あと、鉄板料理だけは俺に任せろ!みたいなのがあると、日曜日のお昼はお父さんがヒーローになりますから。
「お父さんが作ってくれた焼きそば美味しかったよ」とか、(子どもが成長しても)「親父の焼きそば久しぶりに食べたいんだけど」って言われてくださいよ。
(杉山)そんなの言われたらめちゃめちゃ嬉しいですよ。
(クック)チャーハンだけはお母さんには負けないよ、とかね。
うちの父親はそんなにレパートリー多くないんですけど、「焼きそば、すき焼きだけは俺に任せろ」って言うんですよ。
母親がやると、俺がやる、俺がちょっとうまいやつ作るよって。
親父が作ってくれたすき焼きは、結構思い出に残ってます。
できればそういう一品、伝家の宝刀みたいなのを持ってるとですね、褒められる。
そうすると他にも増やそうかなという気持ちになるじゃないですか。
(杉山)いわゆる男料理っぽいって言うとあれですけど、例えば食パンを押して、そこに卵おとしてマヨネーズをバーってかけて焼くだけとか、そういうのも親父が作ったりするとちょっと美味しかったりする。
そもそも美味しいものなんですけど。
(クック)そうそう。
だからお父さんでもお母さんでも、おじいちゃんでもおばあちゃんでも、皆さん伝家の宝刀を一品持ってるといいですよ。
それは家族のためだけじゃなくて、それこそさっき言った、何家族かでと集まってバーベキューやりましょうっていう時に、「ステーキの焼き方は俺めっちゃうまいよー」って言えたらよくないですかね。
チャーシューなんかも今は炊飯器とか電子レンジでもできちゃいますから、レッツ!チャレンジですよ。
(杉山)ホットクック(調理鍋)とかで、書いてある通りやってみると、これなら適当に作れるかなって思える。
時々料理をしない人に、みじん切りとか無理だからって言われると、いやいやチューブでいいじゃんって返す。
ニンニク、生姜とかチューブでギュッて入れたらチャーシューになるじゃんみたいな話をするんですけど、チューブ調味料とかを使っちゃえばいいんですよね。
(クック)できれば生の方がいいと思いますけども、今チューブもいろんな種類がある。
昔だとちょっと苦手な味だなぁと思う方もいたと思いますけど、今はどんどん生の風味がするものが増えてきてますから。
生姜もすりおろしのもあれば刻みもありますし、ニンニクも存在感があるのもあります。
今は麻辣(マーラー)なんかもある。
例えばお醤油とごま油とお酢と麻辣を合わせ、そこにネギをハサミでもいいから刻んでね、ニンニクチューブと生姜チューブとを一緒に冷奴にかけてみたら、めちゃめちゃおいしいのができますから。
それを、今日はお父さんの特製冷奴だよーって出す。
ちょっとしたところからスタートです。
先ほどお子さんが褒められたら伸びるって話しましたけど、お父さんも褒めたら伸びますからね。
この動画はお母さんも見られていると思いますので、お父さんを褒めて、最初は1週間に一品作っていたのが二品になって、一食分になる。
そのうち、月水金はお父さんが作るよって言い出しかねませんから。
そうなったらもうけものでございます。
別に、僕365日同じものでもいいですとか、あんまり食に興味のない方や薄い方もいらっしゃるんですけど、お料理って作る人によって、例えば同じナポリタンでも結構味が違います。
ラーメン店も味が違うお店がこれだけたくさんある。
作る人の個性が味に出るから、お料理1つを食べるんじゃなくて、その人が作ったものを食べるって考えると食の興味ももっともっと湧くんじゃないですかね。